貴船神社の本宮は
華やかな赤い灯篭が立つ石段を行きます。
道沿いには貴船川が流れていて、
水の音が心地いいです。
本宮の神様、タカオカミノ神。
水の神様ですから、
その前で手を合わせると当然、
今日本が一番大変な水の事が頭をよぎります。
福島第一原発の汚染水。
そのために汚してしまっている海のこと。
めぐって、
雨となり私たちの命をささえる飲み水のこと。
日本は本当にお水に恵まれてきました。
こんなにふんだんにお水を使える国はそうそうありません。
そのことに感謝し、
その水を守ってくれている神様や自然界に感謝して、
私たちのご先祖さまたちは、生きてきたと思います。
私たちも忘れてはいけませんね。
今は、井戸や川から水をくんだりすることもなく、
水道の蛇口をひねると、
簡単にお水がでてくるから、
そんな生活だと、
お水の大切さやありがたさに
リアリティを感じなくなってきている・・・・。
こうして神社に参拝することで、
改めて思うんです。
お水、ありがとうございます!
貴船神社付近は
オシャレで洗練されたお店が多かったです。
そんな風な優雅な感じの観光客で、
けっこう混んでいました。
紅葉シーズンだし、当たり前ですね。
山ガール的重装備の私たちの一団は、
カップルや家族ずれの多い中をかきわけるように、
奥の宮へと進みました。
こちらのほうが・・・・
本宮ではないですか?
神様がいらっしゃる・・・
という気配満点です。
空気感が違います。
と、思ったら。
昔はこちらが本宮だったそうです。
まつられているのはクラオカミノ神。
同じく水の神様で、タカオカミノ神とは同一、
とも言われているそうです。
雨がだいぶ降ってきた中、
ひとりずつ拝礼します。
この本殿の下には龍が棲む龍穴があるということです。
なんとなくそこから風が吹いてくるような
そんな気配が確かにありました。
本殿の前にはヤグラ?のようなものがあり、
踊りなどを奉納するのかな・・・と思いました。
そして、
本殿の向かって左手には、大きな岩の塊があります。
何個かの岩を積み上げたような感じです。
御舟型岩・・・。
玉依姫が乗ってきた船だといわれています。
ロマンですね。
そうこうしているうちに、
雨は激しくなり、
さらにあたりは暗くなってきました。
少しずつ暗くなっていくと、
目が慣れていくせいか、
そんなに見えない感じでもないのですが・・・。
ここでNさんよりライトを身に着けるように言われました。
一応手ぶらでいけるヘッドライトを用意していたのですが、
雨も降っているし、
頭には付けず、首にぶら下げてみました。
いよいよ山道に入ります!
ドキドキわくわくしてきました。
夜の山を歩くのは初めてです。
しかも鞍馬山。
雨も降っています。
そして今日はさそり座の新月。
たっぷりどっぷり「水」だらけの中、
山道に入りました。
するとすぐにNさんから
「皆さん、やぶの方に入って小さくしゃがんでください」
という指示が・・・。
なにやら訳のわからぬまま、
私たちは言われた通り、やぶに入り体を小さくします。
少しすると・・・Nさん
「ダメだ。全然怪しい。気配が消えていません。
ヒトの塊がいっぱいあるのがわかります」
えええ?
さらに困惑する一行。
「今、上から人が降りてきたから試してみたんです。
どれだけ皆さんが気配を消せるか?
でもダメです。塊が怪しすぎておかしいので、
フツウにすれ違います」
みんな、ぞろぞろと山道に戻ります。
上から来た人たちとすれ違い、
しばらくすると、Nさん
「今から気配を消す練習をします。
皆さん、集中してこの森の中に溶け込んでください。
意識はどんどんクリアーになり、
色々な音や他の生物の気配が分かるようになると思います」
山道に立ったまま、
みんな瞑想のような状態で闇の中に溶けていきました。
どれくらいたったのか・・・そんな長い時間ではありませんでした。
「そんな感じです。
歩く時もこんなふうにして・・・」
Nさんは忍びの術を伝授するべく、
歩き方や意識の向け方を説明してくれました。
「では、ひとりずつ歩いてみましょう。
一列なって。
私が合図したら、ひとりずつ歩いてきてください」
100mかもっとあったか、
山の中をひとりで歩く体験をします。
少しドキドキしながら自分の番を待っていました。
その間、教わった通りに
気配を消す・・・。
自分がどんどん 真っ暗な森の中にとけていきます。
自分が消えて、まわりの空気と一体になる感じ。
すると、
色々な生物の声や存在、
木々の枝が揺れている感じや、
地面から伝わってくるあたたかさが感じられてきます。
いよいよ私の番。
ひとりきりで、真っ暗な山道を歩きます。
・・・全然、怖くない。
むしろ楽しい。
一歩一歩進むたび、森の命と一体になっていく幸福感。
最高でした!
自我を捨てる、
ってこういうことかもしれない。
うっすらとわかった気がしました。
この後のお話が色々な事情により書けないことが、
残念で、本当にごめんなさい。
私たちの忍びの術は、この後、本領を発揮。
すばらしい体験をしたわけですが、
詳しいことがお話できません。
私たちは、ある聖域に入ることができて、
全てのものに愛と感謝の祈りをささげることができました。
私たちは誰ひとりとして、個人的な願いをしませんでした。
Nさんがそのようにしないでくださいと、
念のため最初に注意をしていましたが、
たぶん、そんなことがなくても、同じだったと確信します。
下山する時、
掌から湯気のようなものが出ていて、
それが虹色に輝いていました。
一瞬、目がヘンなのかと思いましたが、
そうでもないようでした。
みんなで叡山鉄道に乗り、
出町柳の駅に着くと、
さっそく駅員さんにお尋ねしにいきました。
「ピンクのキティのアイフォンなんですけど・・・
携帯の忘れ物、届いてないですか?」
駅員さん、無言で奥へ行き、
ピンクの携帯を手に戻ってきました!
「そ、それです!!!!!」
「あなたのかどうか確認します。
この携帯に電話してみてください」
「私がします!」と、
いつの間にか隣にいたMさんが鳴らしてくれました。
あ、ありがとうございます!!!
出てくるとは思っていたけど、
本当に出てくると感激です。
「で、どこにあったんですか?」
「電車の中で、職員が見つけました」
へ?
あんなに車内、くまなくあたりを探したのに、
こんなド派手なピンクの携帯、
落ちていたらすぐに見つかるはず。
ものすごくフシギな感じです。
フシギです・・・・・・・・・・・・・・・・。
やっぱり、
私は携帯を持たずに
イコール写真を撮ったりメールで他の人と連絡したりせず、
集中して山を登りなさい・・・
ということなんだろうと、思いました。
その後、なごりおしい気持ちいっぱいで、
皆さんと別れて、京都市内に向かいます。
夫と京都市内で待合せをしていて、
明日は奈良へ行くんです。